はじめに
卵子セルフバンクについて
近年まで卵子を凍結保存することは不可能でしたが、ガラス化法という方法によって卵子の凍結保存が可能になり、それによって2002年、当院に卵子セルフバンクが設立されました。
卵巣機能に影響を与える白血病や癌、その他の重症疾患の治療に先立ち、卵子の採取、凍結保存を行い、治療後ストックされていた卵を使用し妊娠することが可能になります。
卵子の凍結保存について、日本産科婦人科学会は2007年にがんの治療などに限り、10カ所の施設で試験的に開始しました。
取り組みと歩み
取り組みと歩み
以前から精子の凍結保存法は確立していたため、精子を必要とする際に自由に融解、使用することが可能でした。しかし、一方、卵子の場合は今までの凍結法では細胞が壊れてしまい、卵子を保存することはほとんど不可能でした。それが、ガラス化法の改良により、卵子に余り負担を与えずに凍結、必要時に融解して使用し妊娠できるようになりました。
そこで当院では、卵子セルフバンク(自分の卵子を自分のためにストックしておくシステム)を、必要とする女性のために開設しました。
ガラス化(Vitrification)法とは、卵子の細胞の水分をガラス化液に置き換えた後、液体窒素によって急激に凍結させる事により、卵子の細胞を凍結保存することです。
卵子の中でも受精していない未受精卵は、受精卵に比べて細胞膜などがもろく、低い温度では卵子の細胞の水分が氷となって膨張して細胞が壊れてしまうので、凍結保存が難しいとされていましたが、ガラス化法により、卵子の細胞の水分が氷になる事が無くなったおかげで、未受精の卵子でも高い確率で凍結保存ができるようになりました。
当院では、がん等の治療により卵子を保存しておくことが必要な方のみ、ご対応しております。
治療方法
治療としては、体外受精の手順の、採卵までの治療行程と同様となります。 ですので、採卵をするための通院を医師の指示通りにできることが必須条件です。(一回来院しただけで、採卵はできません)
当院では、がん等の治療により、卵子を保存する必要の有る方のみご対応しております。
特殊生殖医療メール相談フォームよりご相談ください。
治療へと進むこととなりましたら、事前に体外受精の説明会を受けて頂きます。
実際の採卵のための治療の開始は、生理の2日目に来院していただき始まります。