そもそも不妊症とはどんな病気なのでしょうか。病気なのか病気でないのかはっきりしない、よくわからないあやふやとしたところが不妊症にはあります。子供がいないということの外は健康体な訳ですから。しかも、10年たって子供ができなくても、病院にかかってまでして子供をほしいと望んでいないのであれば、その御夫婦は不妊症ではありません。
 世間一般で流布している不妊症の定義は後ほど述べますが、子供をほしいと希望している、望んでいる(ここがポイントです)にもかかわらず、子供ができなくて、病院にかかってでも子供をほしいと考え(ここも重要なポイントです)、はじめて病院にかかったときに不妊症という診断名、病名が発生します。前述もしたとおり、それまでは、何年間にわたって子供ができなかろうと不妊症という病名は存在しませんし、逆に結婚したばかりでも上記のように考えれば、すぐに不妊症という病名がつきます。不妊症があやふやな病気というのは、”病院にかかってでも”というところに意志の力が加わる、意志によって左右されるからなのです。
 学問的には不妊症、子供ができないという状況は単一の原因のみでおきる訳ではないので、不妊症候群とでも名前を付けた方がいいのではないかと個人的には考えています。

いつから不妊治療を始めればいいのか?

 一般的に、子供をほしいと考えているカップルが、避妊などしないでいた場合、”1年以内に妊娠する夫婦は80%、2年以内に妊娠される方が90%になる。”という50年以上も前からの統計を述べて、2年たっても子供ができなければ病院に行くのがよいと書いてある本が多いようです(一般的な教科書では2年以上たっても子供ができない場合を不妊症と定義しています。米国では1年以上で不妊症と定義されています)。しかし、子供をほしいという願望には、人それぞれの希望の度合いがあり、ひとくくりにはできません。また、”病院に行った方がいいでしょう”といわれても、あるいは、”病院にかかった方がいいのではないか”と考えても、”子供をほしいのですが”といって産婦人科の病院の門をくぐるのには、かなりの決心を必要とします。第1に病院にいくということ自体おっくうなことです。また、産婦人科というと一般的には好んでかかりたいところではありません。第3に不妊症という病気、病気なのか病気でないのかわからないような、最初は積極的に病院にかかる必然性をもっていないような病気。また、いまだに子供ができて一人前の女性という蔑視にもにた感覚が残っている方がいるのも事実で、何となく日陰者のような気分にさせられる病気で病院にかかることに抵抗がうまれます。子供を作るのに苦労を知らない人は全く苦労なく子供ができてしまいます。自然に妊娠できず病院にいくことで、自分自身を不妊と認めてしまうということもさらなる抵抗感を生み出します。これは、男性においてもいえます。第4に不妊の大きなあるいは絶対的な原因があった場合、特に男性により強いと思われますが、強い喪失感に支配されてしまい、克服するにはかなりの時間を必要とすることになります。このために、病院に行って検査をすることに対する形にならない恐怖感がもう一つのハードルになります。
 病院にかかる時期は、病院にかかることへのいろいろなマイナスポイントをこえて、自分たちだけで排卵がおきていそうな時をねらってタイミングを持っているだけよりも、治療を受けた方が子供ができやすいのではと判断したときです。あるいは、月経不順などがあり病院にかからなければ子供ができないのではないかと判断したときです。つまり、”病院にかかってでも子供がほしい”という方向に自分のなかの針が振れた時点、天秤が傾いた時点が、病院にかかる時だと思います。これには個人差は当然あります。結婚してすぐという方もいれば、10年ほどたってからという方もあります。あなたが、そう思った時が、受診するときです。しかし、受診する気があるのなら早いにこしたことはありません。年齢が進めば進むだけ妊娠しにくい状況が生まれてきます。
 当院に受診するのならば、月経周期のいつでも構いません。できる検査から順番にはじめます。

どの病院を選択したらいいのか?

 これはいうまでもなく、諏訪マタニティークリニックがベストです。不妊治療の系統的な検査方法、系統的な治療内容は、ほかとは比較になりません。
 これはまあさておき、一般的な話をしてみましょう。
 病院を選ぶときに、大切なのはその病院にかかったことがあるという人の情報や、巷の評判です。いい病院だったかどうか。病院の外観では治療内容や治療レベル、内容の善し悪しは分かりません。医者もひとがいい、見た目がいい方がベターに決まっていますが、感じがわるくても治療内容は大変にいいという場合もあります。同じ産婦人科医であっても、一緒に仕事をした人の医療内容については充分にわかりますが、一緒に働いたことがない先生についての評価は正確にはできません。ましてや、患者さんはわからないと思います。インターネットが充実してきていて、多くの病院がホームページを開いていますので、ここからの情報も参考になるでしょう。また、”不妊を克服した”、”不妊治療のすべて”などという本が氾濫しており、間違っている点もみうけられますが、参考にはなります。このような情報を入れて、受診する病院を決められることがよいと思われます。また、できれば不妊の専門外来をもうけている病院の方がよいでしょう。
 また、受診なさる方は、受診したかぎりは、その病院の先生の医療内容を信用して治療を受ける方がいいと思います。なかには、最初から不信感、敵意を露骨に表して受診されるかたもいます(そのかたがいろいろな病院を巡り歩いていればなおさらそうなのですが)。医者は神様でも何でもなく人の子ですから、敵意もあらわにこられれば、いい感じがしないのは当たり前です。信用されてない人に対して、最大限の奉仕をするほど、みんな人はよくありません。患者さんに何の得もありません。逆の立場に立って考えてみればすぐわかると思います。初対面で患者さんの信頼をすぐに勝ち得る大先生もいますが、なかなかそういう医者は少ないのが現実です(すぐに信用を得る方のなかには大言壮語の傾向のある方もいて、これもどうかとも思います)。まず、いろいろな情報から判断し、選択した病院にかかってみましょう。その上で、自分にとってよい病院かどうか判断してみましょう。

病院を変えた方がいいときは?

 一度、選んだ病院にかかってみてからの、病院を変えたほうがいいかという判断ポイントは、以下です。

1.医者の感じ、病院の雰囲気が悪く、自分にあっていないと感じた場合。

2.少なくとも膣の方からみる超音波装置がないところはやめた方がいいでしょう。現在の不妊治療に おいて経膣超音波装置は必要不可欠です。

3.”子供がほしいのですが”と病院に受診した際、月経周期が不順な方は別にして、月経周期が順調 なのにも関わらず、”不妊症ですか。では、この薬を飲みましょう。”とクロミッドという薬を渡された場合は、どちらかというとやめたほうがいいです(理由はこの冊子を読んでいくうちにわかると思います)。

 以上、いくつかの病院選びのポイントを羅列しました。参考にしてください。